Project for BATEY チャリティーイベント in バラオナ

ドミニカでは2017年から2018年にかけての年末年始は雨が降る日が多かったものの、イベント当日は天候に恵まれ快晴。我々が招待した3つの村の野球少年達110名が、会場となったバオルコ県の村、バテイ・ドス(Batey 2)の野球場へ集まった。イベントの趣旨は、講演を通して、日々の行いや勉学に対する姿勢が野球、ひいては人生そのものに大きく影響することを子供達に感じ取ってもらうこと。この趣旨に基づき、講演会というかたちでイベントを実施した。

各村には、子供達に野球をする機会をボランティアで提供している指導者達がいる。自身もギリギリの生活を送っている中、子供達を犯罪の道に走らせないよう、必要な野球用具の購入費用は指導者自らの生活費からやっとの思いで捻出し、レクリエーションとしての野球ができる場としてこの活動が継続されてきた。言わずもがな、志の高い方々による活動だ。イベント趣旨に賛同してくれた彼ら指導者達の協力を得てイベント実施に至ったが、イベントの最後に新品の野球用具一式が寄贈されるとはつゆ知らず、指導者達も子供達も皆、講演を真剣に聞こうと真面目な表情でイベントに臨んでいる。彼らがどんな表情で寄贈品を受け取ってくれるのかを楽しみにしながら、講演を開始した。

講演は、本イベントの運営をご協力いただいた地元の慈善団体「フンダシオン・セントラル・バラオナ(以下FCB)」のメンバーお二方にそれぞれにお願いした。

1人目の講演者はMercedes Andújar氏。彼女はFCBがメジャーリーグベースボール(以下、MLB)と提携し数年前から実施している、貧困地域の子供達に野球をする機会と教育支援制度を提供するプログラム「RBI(Reviving Baseball in Inner-Cities)」のドミニカ共和国バラオナ県支部の担当者だ。

このプログラムを通してのご経験、そしてMLB関係者との関わりの中から見えてきたもの、それは、教育の大切さだと彼女は語る。野球が好きで本プログラムに興味のある子供達は、学校での教育をあまり重要視していない。プロの選手になれれば野球で生計を立てられるから勉強なんかしなくても良い。そう考えるからであろう。ただ、MLB関係者の話では、そうした考えを持ったMLBの選手達や候補選手達も少ながらずいて、彼らの中で不運にも怪我で選手生命を絶たれその後の生き方を模索することとなった際に初めて、教育をないがしろにしてきたことを後悔する選手も少なくないとのこと。もちろん、大人になってからでも勉学に勤しむことは可能だが、幼少期に与えられた折角の教育の機会をわざわざ無駄にする必要もないはずだ。

また、仮にプロの選手になれたとしても、その輝かしい野球人生は永遠に続くわけではない。本イベントに参加した子供達の場合で言えば、彼らが生まれ育ったコミュニティや生活圏でその社会の一員として幸せに生きていくためには、そのコミュニティの状況を少しでも良くすることも必要であり、それにあたり学校での教育が大きな意味を成すのだと彼女は言う。コミュニティの将来を担う子供達一人一人が自律的に物事を考えコミュニティの問題を解決していくためにも、教育は大切である。彼女はそう子供達に伝えた。

続いて2人目の講演者はJuan Fernando Román氏。FCBが貧困地域のコミュニティを支援するために実施している各種プロジェクトを円滑に進めるため、各コミュニティに直接出向き住民と調整を行ったり、1人目の講演者Mercedes氏と同様RBIプログラムを支援したり、また、FCBが運営する学校にて講師として授業を行ったりするスタッフだ。

自らの野球のスキルを向上させ、チームとしても成功するために大切なことは、規律を守ること、そして他者に敬意を払いチームで協力すること。この2つが最も重要であり、それらは人生においても重要だと彼は語る。

野球の試合はルール、つまり規律のある中で行われるから面白く、練習ではチームごとに一定の決まりごとが設けられているからこそ、安全に効率的な練習が行える。ルールがあるというのは社会で生きていく中でも同様だ。チームメイトや家族間、職場、そして社会での規律を守り責任を持って行動することは重要なのだ。

また、野球は一人ではプレイできず、自身のチームと対戦相手となるチームとで行われ、チームメイトと同じ目標を掲げ協力しあってプレイする。それはもちろん社会でも同様だ。人間は一人では生きられず、お互いが助け合ってこそ生きてゆける。そして野球においても社会においても、お互いが助け合うためには他者とコミュニケーションを取り良い関係を築くことが必要であり、そのためには他者を敬い大切にすることが求められるのだ。野球というスポーツを通して自分自身を成長させることができれば、社会をより良くすることも可能になるのだということを、彼の講演から子供達が感じ取ってくれたのではないだろうか。

お二方の講演を終え、最後に子供達、そして彼らの指導者達にサプライズで野球用具を寄贈する時間となった。チャリティTシャツの購入を通して日本の方々にご寄付いただいたお金で寄贈品を購入できたことを伝えた上で、下記用具一式、合計約20万円分の野球用具を3つの村の子供達に寄贈した。

  • グローブ24個
  • キャッチャー用グローブ3個
  • ボール60個

新品のグローブと新品のボールの使い心地を確かめようと、早速キャッチボールを始める子供達の笑顔は眩しい。ただ、子供達が喜んでいたこと以上に我々を嬉しくさせたのは、指導者達が言葉にならないほど喜んでいたこと。日々使用する練習用具の質・量ともに不足している状況を自身の力だけではすぐには改善できないことを、イベント以前によく我々に嘆いていた指導者達。その時の表情とは見違えるほどの彼らの笑顔。少しでも彼らの思いに寄り添った支援となっていたら幸いだ。

野球用具の贈呈を終えると、もうお昼の時間。一日一食しか食べられない子供達も多いことを考え、本イベントに参加した子供達に昼食を提供し、イベントを終えた。美味しそうにご飯をかき込む子供達。たった一食の昼食であり、彼らの成長を継続的に支えるものでは決してない。が、この食事や寄贈品、講演の内容が彼らの記憶に残ること、そして将来彼らが心身共に健康に成長することを願わずにはいられない。

最後に、今回のイベントを含む我々のプロジェクト、Project for BATEYにご賛同・ご協力いただいた皆様に改めて御礼申し上げます。今後も貧困地域に点在する村々「バテイ」に住む子供達を支援したく、微力ながら、引き続きチャリティTシャツの販売を続けてまいります。ご協力いただけます方がいらっしゃいましたら、是非こちらの販売ページからチャリティTシャツをご購入いただければと存じます。また、今プロジェクトにご興味のある団体様がいらっしゃいましたら、当社お問い合わせフォームよりお気軽にご連絡下さい。ドミニカ共和国の貧困地域に住む人々を支援する方法は様々あるかと存じます。その方法を我々と一緒に考えていただき、彼らの生活に小さくとも確実なインパクトを与えられたら幸いです。

日本プロ野球で活躍する外国人選手の出身国を見ると、アメリカに次いで多いのがドミニカ共和国出身の選手達です。彼らの活躍が日本の野球界を支えていることは明らかです。そんな彼らの母国ドミニカ共和国からの次世代の若きスターが、貧困地域の村々「バテイ」からも輩出されることを願いつつ、イベントの報告とさせていただきます。

 

チャリティTシャツ売上・寄付詳細

 

各選手からのメッセージ

<リカルド・ナニータ氏>

Quiero expresar mi más sincero agradecimiento por el gesto solidario de apoyar nuestro proyecto de recaudación de fondos para mejorar la calidad de vida de los niños del Batey.

Con la venta de las camisetas pudimos recaudar suficientes fondos para comprar equipos deportivos que ellos tanto necesitan.

Es de gran orgullo para mi saber que puedo contar con el cariño de los fanáticos japoneses que siempre me han brindado apoyo tanto en mi tiempo jugando como cuando estaba en recuperación. Tengo la esperanza de volver a estar junto a ustedes muy pronto!

Sinceramente,

Ricardo Nanita

バテイの子供達の生活の質の向上を目指して援助金を集める、という我々のプロジェクトに関して、この度は皆様からの多大なご協力を賜り、心より感謝申し上げます。

Tシャツの販売を通して、子供達が必要としているスポーツ用品を買うのに十分な資金を集めることができました。

リハビリ中の時も含め、いつも私を支援してくれる愛すべき日本のファンの方々がいるということ。それをこのプロジェクトを通しても知ることができ、とても誇らしく思っています。近い内に、皆様とご一緒できることを願っています!

リカルド・ナニータ

 

<マヌエル・ソリマン氏>

Gracias a todas las personas de Japón que aportaron a la causa con la compra de los camisetas por aportar a mi país un granito de arena para que muchos niños que hoy en día no tienen la facilidad de sus padres un trabajo pueden tener algún tipo de ayuda. Muchas gracias y se le quiere mucho de parte Manuel Soliman.

今現在も仕事を得にくい境遇にいる両親を持つ子供達を支援する方法の一つとして、Tシャツの購入を通した寄付をしていただき、私の国、ここドミニカ共和国にご貢献いただいた日本の皆様。この度は本当にありがとうございました。マヌエル・ソリマンより愛を込めて。

 

「第1回 Project for BATEY チャリティーイベント in バラオナ」は無事終了いたしました。

ご参加、ご協力を頂きましたすべての皆様に御礼申し上げます。

Project for BATEY チャリティTシャツは引き続き販売いたしますので、皆様のご協力をよろしくお願いいたします。

Special Thanks to Ms. Mercedes Andújar, Mr. Juan Fernando Román, Ms. Clara Seidenstricker, Mr. Eric Wohlfeil, Ms. Jennyfer Cenac and Ms. Pamela Palacios Colón.

 
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